増大号 匠から学ぶ 血栓止血検査ガイド
3章 検査プロセス
VWF抗原/VWF活性/VWFマルチマー解析
岡本 修一
1
1名古屋大学大学院医学系研究科総合保健学専攻オミックス医療科学
キーワード:
フォン・ヴィレブランド因子
,
VWF
,
VWF抗原量
,
VWF:Ag
,
VWFリストセチンコファクター活性
,
VWF:RCo
,
VWFマルチマー解析
Keyword:
フォン・ヴィレブランド因子
,
VWF
,
VWF抗原量
,
VWF:Ag
,
VWFリストセチンコファクター活性
,
VWF:RCo
,
VWFマルチマー解析
pp.1001-1004
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209098
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はじめに
フォン・ヴィレブランド因子(von Willebrand factor:VWF)は,血管損傷部位における血小板の粘着・凝集,流血中の凝固第Ⅷ因子(factor Ⅷ:FⅧ)の安定化作用を有する糖タンパク質である.VWFの約80%は血管内皮細胞,残りが巨核球から産生・分泌され,血中では分子量500〜20,000kDaからなるマルチマーを形成する.VWFサブユニットのドメイン構造は,FⅧ,血小板表面膜糖タンパク質(glycoprotein:GP),コラーゲンなどとの結合部位となって止血機能を発揮する.出血症状を有し,プロトロンビン時間(prothrombin time:PT)とフィブリノゲンが正常,かつ活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)の延長をきたした場合には,フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand disease:VWD)や後天性フォン・ヴィレブランド症候群(acquired von Willebrand syndrome:AVWS)に代表される,VWFの量的・質的異常を鑑別する必要がある.そのための検査として,本稿ではVWF抗原量,VWF活性値,VWFマルチマー解析を取り上げる1,2).
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