FOCUS
炎症性腸疾患のバイオマーカー
岡田 光貴
1
1京都橘大学健康科学部臨床検査学科
pp.1317-1319
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208849
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はじめに
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)とクローン病(Crohn's disease:CD)は炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)と総称され,いずれも厚生労働省により指定難病とされた疾患である.UCは直腸部から大腸全域にかけて連続的に炎症と潰瘍が生じる疾患である.一方,CDは大腸と小腸を中心として非連続的に炎症と潰瘍が生じる疾患である.IBDの主訴は腹痛や下痢,下血であるが,これら症状の寛解と再燃を繰り返す特徴がある.IBD自体は致命的でなく若年者を中心に発症が目立ち,患者数は右肩上がりである.
指定難病のなかでも,登録患者数はUCが2番目,CDは4番目に位置付けられており1),各医療施設におけるIBD患者の受診はもはや珍しいものではない.IBDの病態把握には内視鏡検査が必須であるが,これは患者の身体的および精神的な負担が大きいため頻繁に行えるものではない.そこで,定期通院時に血液検査によりIBDの重症度を測ることが主となっている.一方で,近年,IBDの病変部に由来する蛋白質が生体試料中に複数発見され,新たな臨床検査項目として採用されている.本稿では,IBDに対する臨床検査と,その病態把握に有用なバイオマーカーについて概説する.
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