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WSIを活用した病理診断とAI技術適用の現状
吉田 美帆
1
1神戸大学医学部附属病院病理部
pp.644-647
発行日 2021年6月1日
Published Date 2021/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208405
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はじめに
現在,身の回りの家電や社会インフラを含めたさまざまなものがインターネットに接続され,高性能なコンピュータやスマートフォンなどが急速に普及し,暮らしの利便性が増す時代となった.さらに,人工知能(artificial intelligence:AI)の活用により,いままでコンピュータでは実現できなかったことができるようになりつつある.膨大なデータ(ビックデータ)をAIが自ら“学習”することで,高度な判断や作業を自動で行うことが可能となり,これらの技術革新を第4次産業革命という.
病理・細胞診断分野では,1990年代前半より遠隔病理診断が行われはじめた.従来は狭い範囲の静止画像での伝送であったが,現在ではインターネットの整備が進み通信速度が向上したため,組織標本の全てをあらかじめコンピュータ内に高精細画像としてスキャンしたWSI(whole slide imaging)画像を使用している.また,2017年にまとめられた「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会報告書」1)では,AI開発を進めるべき重点領域として“画像診断支援”が挙げられ,画像診断におけるデジタル技術の重要性は今後とも増してゆくものと思われる.本稿では,WSIの活用と病理画像を用いたAI技術の現状について述べる.
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