トピックス
5-アミノレブリン酸蛍光染色による癌細胞の検出,細胞診への応用
三村 明弘
1
1大阪労災病院中央検査部病理検査
pp.550-553
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208376
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はじめに
5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid:5-ALA)は1987年にMalikら1)によって報告された内因性ポルフィリン物質で,ヘムの前駆物質である.5-ALAは腫瘍細胞内に能動的に取り込まれ,ミトコンドリア内で蛍光物質であるPpⅨ(protoporphyrin Ⅸ)に返還される.腫瘍細胞内ではferrochelatase活性の低下によりPpⅨが大量に蓄積するため,腫瘍細胞は赤色の蛍光を発光する.現在,多くの癌症例を対象に5-ALA蛍光染色が診断・治療に試行されるようになってきている.
自然尿検体における5-ALA染色法については藤本ら2)の報告があるが,筆者ら3)は,藤本らが用いた蛍光細胞診の方法を改変し,5-ALA染色変法(以下,本方法)を考案した.まず膀胱癌について自然尿細胞診を対象に検討し,細胞診診断上の有用性を確認した.次いで本方法を腎盂・尿管カテーテル尿に応用し,その細胞診診断上の有用性を検討し一定の成果を得た3).また,本方法を胆管擦過細胞診材料に応用し,細胞診の診断能を一定程度向上させ得た4).
本稿では,筆者らの報告3,4)を通して,本方法の有用性について紹介する.
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