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質量分析装置による薬剤耐性菌の検出
川元 康嗣
1
,
小佐井 康介
1
,
栁原 克紀
1,2
1長崎大学病院検査部
2長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・診断学
pp.462-465
発行日 2021年4月1日
Published Date 2021/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208348
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はじめに
質量分析装置は約10分で菌種を同定することができ,その同定精度も従来法に比べて高く,微生物検査に大きなインパクトを与えてきた.また,院内感染時の菌株のタイピングやMRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)検出などの耐性菌の同定にも応用され,さまざまな研究が行われてきた.しかしながら,検体の前処理の煩雑さやデータ解析に専門的な知識を要するなど標準化へ向けての問題があり,日常検査では耐性菌の検出で,質量分析装置はほとんど使われてこなかった.
近年では質量分析装置用の簡易的なキットや解析用ソフトウエアが発売され,どこの施設でも容易に耐性菌の検出を行えるようになってきた.本稿では,それらのキットやソフトウエアの操作性や性能に加えて,今後の耐性菌検出における質量分析装置の有用性について解説する.
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