臨床医からの質問に答える
イムノクロマト法の非特異反応(偽陰性・偽陽性)はどの程度の頻度で起こるのですか?
黒田 雅顕
1
1帝京大学医療技術学部臨床検査学科
pp.708-712
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207600
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はじめに
欧米ではlateral flow immunoassayと呼ばれるイムノクロマト法は,特殊な測定機器や測定技術を必要とせず短時間で結果を得ることが可能なことから,POCT(point of care testing)対応試薬として広く普及している.特に迅速診断試薬として病院臨床検査室,検査室をもたない病院で汎用されている.イムノクロマト法を原理とした妊娠検査薬である尿中hCG(human chorionic gonadotropin)検出試薬などもOTC(over the counter)試薬として以前から普及している.近年,排卵予測検査薬としてイムノクロマト法による尿中黄体形成ホルモン(luteinizing hormone:LH)測定検査薬が認可され,販売されているのは新しいところである.
現在,イムノクロマト法を用いた測定検査項目は感染症診断を目的とした細菌やウイルス抗原・抗体をはじめ心筋マーカー,特異的IgE抗体,便潜血,薬物など多岐にわたり増加している.特にインフルエンザ抗原などの感染症項目については,測定試薬の性能向上により感度と特異性に優れたものが上市されている.また,対象となる検体の種類も多様になり,尿,血液成分(血清,血漿,全血)以外に,便,涙液,鼻腔拭い液,咽頭拭い液,唾液などが検査検体となり,検体前処理が必要なキットも多くなってきている.本稿では,イムノクロマト法の偽陰性・偽陽性発生の背景について考える.
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