増刊号 現場で“パッ”と使える 免疫染色クイックガイド
1章 こんなときどうする? 免疫染色の“困った”を解決
困った④ バックグラウンドが強い
ブロッキングに問題がある
柳田 絵美衣
1,2
1慶應義塾大学医学部病理学教室
2慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット
pp.977-980
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207330
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内因性ペルオキシダーゼによる影響
■原理・原因
好中球,好酸球などは内因性ペルオキシダーゼ活性,また赤血球ヘモグロビンは偽ペルオキシダーゼをもつため,HRP(horseradish peroxidase)系発色剤が反応し,発色してしまう(図1).図2は血管内に存在する血球がもつ内因性ペルオキシダーゼや偽ペルオキシダーゼにDAB(3,3’-diaminobenzidine)反応し,茶褐色に色づいている.
ホルマリン固定パラフィン包埋切片では,ブロック作製までに熱やさまざまな薬品により,内因性のペルオキシダーゼ活性は減弱しているが,凍結切片や細胞診検体は生体内の状態に近いため,ホルマリン固定パラフィン包埋切片に比べて内因性ペルオキシダーゼ活性が非常に強い状態にある.そのため,凍結切片や細胞診検体を用いる場合,内因性ペルオキシダーゼのブロッキングは,時間をかけてしっかり行う必要がある.
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