増刊号 現場で“パッ”と使える 免疫染色クイックガイド
1章 こんなときどうする? 免疫染色の“困った”を解決
困った② 陽性対照組織も検体組織も染色されない
抗体試薬の選択に問題がある
柳田 絵美衣
1,2
1慶應義塾大学医学部病理学教室
2慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット
pp.936-939
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207315
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抗体の選択ミス
■原理・原因
図1のように,抗体分子IgGは重いペプチド(H鎖:heavy chain)と軽いペプチド(L鎖:light chain)からなる.H鎖の約3/4,L鎖の半分の構造は類似性が大きいが,残りの部分の構造は分子によって大きく違っている.この部分を可変部といい,この構造の違いが対応できる抗原の選択を担う.つまり,図2のように,可変部の構造と目的の抗原が合致すれば,結合して抗原抗体反応を起こす.しかし,可変部の構造と目的の抗原が一致しなければ,結合できず抗原抗体反応は起こらない.免疫染色を実施しても,一次抗体が抗原と結合できなければ染色は陰性となる.
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