増刊号 現場で“パッ”と使える 免疫染色クイックガイド
Column
Column.1 夢に見るほど免疫染色一色の生活
pp.935
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207314
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病理検査専門の検査会社に勤めていた頃,用手法で免疫染色を行っていた.多い日では湿潤箱を高々と積み上げ,200枚ほど染めることもあった.染色し終わった標本は,まず自分で全て染色性のチェックをする.その後,必ず上司(社長)のところへ持って行くことになっていた.そこで何が始まるかというと……ここからが関所である.1枚1枚,上司が顕微鏡でチェックをしながら私に問う.「この抗体は正常細胞では何が染まる? 何の鑑別に使用する? 細胞のどの部分が染まる? この切片は何の組織で,何が染まっている? 抗原賦活処理は何をした? 希釈倍率はどのくらいで染めた?」と,1枚ずつ時間をかけて問答を繰り返すのである.答えられなければ,もちろん「戻って調べてきて,もう一度持ってきなさい」と,突き返される.当時は,その数十分,数時間が緊張と恐怖でただただ苦痛であった.いま思えば,あんなに多忙な上司が何時間も時間を割いてくださっていたのだから,上司にとってもある意味苦痛だっただろうと思う.それを数年間毎日繰り返していたおかげで,いまではある程度の抗体については賦活処理法や染色の陽性像,鑑別症例が頭の中に入っている.
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