連載 研究のすゝめ・6
研究的好奇心から臨床現場への還元と成果—症例の出会いと謎解きの面白さ
藤田 清貴
1
1群馬パース大学大学院保健科学研究科病因・病態検査学領域/医療科学領域
pp.566-572
発行日 2018年5月1日
Published Date 2018/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207211
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はじめに
臨床検査は病気の診断や治療効果を判定するうえで必要不可欠なものであり,診療支援ができる実践的な知識と技術を身につけ,検査値から病態を推測できる質の高い臨床検査技師の育成を望む声が大きくなっている.一方,臨床検査技師は,医療機関で活躍する以外に,生殖医療分野における臨床エンブリオロジスト,科学捜査研究や製薬・試薬関連企業での研究開発など,これまで以上に幅広い分野での活躍が期待されている.そのためには,高度な専門知識と応用能力をもち,科学的視野および技術で問題解決のできるbiomedical laboratory scientistとしての臨床検査技師の育成が急務である.そこで本学では,国家資格を取得するためだけの教育ではなく,実践的な知識と技術能力を身につけ,検査値から病態を推測し診療支援ができる臨床検査技師,および検査技術学を応用しscientistとして他分野で活躍できる臨床検査技師の育成を目的とした“検査技術学科”を2013年にスタートさせた.現在,教育現場にかかわって約18年であるが,表1に示したように,約25年間は一般病院の臨床現場で臨床検査技師として働いていた.
今回,長年の臨床・教育現場での経験を踏まえ,いかに研究的好奇心が大切か,さまざまな症例との出会いと“謎解き”がいかに面白いかを紹介しながら,臨床現場への還元とその成果について述べてみたい.
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