連載 人の心に寄り添う医療人になる・26
経験を信じる・2
澤 穂希
1
,
山藤 賢
2
1元なでしこジャパン
2昭和医療技術専門学校
pp.556-565
発行日 2018年5月1日
Published Date 2018/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207210
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[前号(4月号)より続く]
澤穂希の幸福論
山藤:自分の良さなどを自分で話すのは難しいと思いますので,少し僕が思う澤さんの素晴らしさを話していいですか.これはあくまでも僕が日頃思っていることなので,僕の考えとして聞いてください.僕は澤さんとは長年友人としてプライベートでもご一緒する機会が多く,その中で思うのは,澤さんの良さはすごく多様性があるということです.僕がこの連載のはじめに書いた文章の「世界のシステム」という図(本誌44巻1月号,62頁)を見てください.良い臨床検査技師は,臨床検査技師としての技術と知識を極めていい仕事をしていると思うんですが,本当は,その外にも医療人という枠があって,さらにその外には社会と人間のシステムがあるんです.だから,こういう外の世界を知ってから臨床検査技師の狭い円に戻ってきたほうが,人として豊かになると思うんです.
サッカーで言えば,サッカーだけを極めて,「サッカーで世界一になる」とか「サッカーで世界一の選手になる」ことだけを目標にしていると,例えば負けたり,サッカーで挫折したりすると,それ以外のことが幸せに感じなくなってしまうのかもしれませんが,澤さんは昔から,「なでしこジャパンの選手はサッカーを極めつつも,審判や相手選手ともきちんと話せるよう,英語も学んだほうが良い」と言っていたり,僕に「医療や経営の話を聞かせてよ」と言ってきたり,フィールドの広さがありますよね.その視野の広さは昔からずっと持っているなと思っているんですが,生き方の中心にあるのがサッカー選手として一流であることだけじゃないというのは,スポーツ選手としてはかなり珍しいと思います.
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