技術講座 血液
尿中単核球の表面マーカー染色
宿谷 賢一
1
,
難波 満喜
1
,
中竹 俊彦
2
1杏林大学医学部附属病院中央臨床検査部
2杏林大学保健学部臨床血液学
pp.841-846
発行日 1997年9月1日
Published Date 1997/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903227
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新しい知見
尿沈渣は腎および尿路系疾患のスクリーニングとして古くから施行されてきた検査方法である.成分の観察はrisk free renal biopsyなどとも呼ばれ,腎生検に匹敵する情報が得られる.腎生検は患者リスクが大きいことが問題となる.
尿沈渣をフローサイトメトリーにより詳細に解析する検査法が検討されつつある.フローサイトメーターによる検査は血液細胞のみではなく,すでに組織・髄液・骨髄・体腔液・気管支肺胞洗浄液などにある細胞の解析に用いられている.尿沈渣への適用については,現在,好中球の殺菌能の測定やリンパ球の表面マーカーの解析が行われているが,臨床的な知見を含め,蓄積中の段階である.しかしながら,フローサイトメー夕ーがもたらす解析結果は種々の検査材料ですでに証明されており,本法による尿中細胞の解析が腎および尿路系疾患の治療効果,病態の把握に利用されることが期待される.
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