FOCUS
薬剤耐性(AMR)対策アクションプランにおける臨床検査技師の役割
小松 方
1
1天理医療大学医療学部臨床検査学科
pp.444-447
発行日 2017年4月1日
Published Date 2017/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206820
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薬剤耐性(AMR)対策アクションプランとは
近年,抗菌薬開発メーカーが減少し,既存の抗菌薬が無効となる感染症が問題となってきた.また,医療関連感染症も増加し,その主たる原因は,多くの抗菌薬に耐性化した薬剤耐性菌〔薬剤耐性微生物(antibiotic resistant organisms:ARO)〕であった.一方,畜産などで使用される動物用抗菌薬の過剰使用によるAROの出現も問題となっており,ここで生じた耐性菌がヒトに伝播していることも注目されている.このような背景に基づき,ヒトと動物を合わせた世界レベルでの取り組み(ワンヘルス・アプローチ)が必要であるという視点から,2011年に世界保健機関(World Health Organization:WHO)が全世界に訴えた.以降,世界レベル,および国内レベルでの薬剤耐性(antimicrobial resistance:AMR)に関する認識が深まり,具体的な制御に関する取り組みが行われている.
国内では,厚生労働省に有識者が招集され,“国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議”という組織の下に“薬剤耐性(AMR)に関する検討調整会議”が設置され,検討が進められた.そして,2016年4月5日,「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」(以下,アクションプラン)(全71ページ)1)が公開された.アクションプランの項目立ては表11)に示すように6つの分野に分かれ,2020年までの達成すべき成果指標(表2)1)が示されている.これらのなかから臨床検査技師が取り組むべき役割について抜粋し,以下に解説する.
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