オピニオン
日本におけるがん検診の現状と課題
松田 一夫
1
1公益財団法人福井県健康管理協会・県民健康センター
pp.812-813
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206579
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はじめに
がん検診の目的は癌死亡率を下げることであり,形態は対策型検診と任意型検診に分かれる.対策型検診は市区町村が公費で住民に対して行う検診で,地域の癌死亡率減少を目的とし,任意型検診は自己責任で受け,自身の癌死亡リスクを減らすものである.職域で福利厚生の一環として行われるがん検診も任意型検診と呼ばれるが,職域全体の癌死亡を減らす意味が強く,対策型検診に近い.ちなみに,事業所にはがん検診の実施義務はない.
対策型検診では,結果を厚生労働省に地域保健・健康増進事業報告する義務がある一方,任意型検診や職域検診には報告義務はなく,実態は不明である.対策型検診としては胃・肺・大腸・乳・子宮頸癌の5つのがん検診が行われ(表1)1),いずれも死亡率減少効果が証明されているが,現実には死亡率減少に至っていない.わが国におけるがん検診の問題点について述べる.
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