オピニオン
微生物検査における検体採取の重要性
山本 剛
1
1西神戸医療センター臨床検査技術部
pp.420-421
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206434
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適切な検体採取の重要性
微生物検査にかかわらず,臨床検査を行ううえで不適切な検体採取が行われた場合は,“見かけ上の異常値”として結果報告される.“見かけの異常値”とは,異常値があるのに正常値になり,正常値なのに異常値として捉えられる臨床検査特有のエラー事象のことであるが,血液検査では,採血手技による溶血や抗凝固剤の選択,保存条件の不良などが原因となる.微生物検査では,不適切な検体採取により,雑菌が多く混入したり菌量が少なく培養で検出されないなどの理由で,起炎菌の判断がしにくくなることが想定される.その結果,不必要な抗菌薬の投与が行われたり,広域抗菌薬を使用する頻度が高くなったりし,本当は不必要だが過剰な抗菌薬投与を行うことも想定され,その後の診療方針に大きな影響を与えてしまうことになる.不適切な検体採取が行われれば,どれだけ有能な微生物検査技師をそろえても,どれだけ高度な検査機器を設置しても,正しい検査結果を導くことは困難である.
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