今月の表紙
多発性骨髄腫:multiple myeloma(MM)
高橋 恵美子
1
,
東 克巳
2
1東京大学医学部附属病院検査部
2杏林大学保健学部臨床血液学研究室
pp.940
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101847
- 有料閲覧
- 文献概要
今回は,多発性骨髄腫(multiple myeloma,MM)を取り上げた.MMはWHO(World Health Organization,世界保健機関)分類では,リンパ系腫瘍の成熟型B細胞性腫瘍(mature B-cell neoplasms)のplasma cell myeloma/plasmacytoma(骨髄腫/形質細胞腫)の中に分類されている.
骨髄腫は形質細胞が単クローン性に骨髄で増殖し,しかも進行性である.その多くが,限局的に骨髄に浸潤し,それがいたるところ(多発)にみられるので多発性骨髄腫と呼ばれる.骨髄内の浸潤様式により結節性(nodular)および,びまん性(diffuse)の二つに分けられる.MMの骨髄腫細胞は正常形質細胞と異なり,大きな核小体をもつもの,核のクロマチンが柔らかく核周明庭が不明瞭で青い細胞質を有するもの,大型のものや多核のものなど,異型性のある細胞が出現する.またMMは全白血病の10%にみられ,40歳以上の成人,特に60~70歳の高齢者に多く,30歳以下の若年者には稀な疾患である.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.