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本項では,FIP1L1-PDGFRA融合遺伝子を伴う慢性好酸球性白血病(chronic eosinophilic leukemia:CEL)の自験例を提示するとともに,好酸球増多症を来す疾患について概説する.
持続的な好酸球増多症(≧1,500/μL)を示す疾患と診断基準の概要を→表11,2)に示す.CEL-NOS(chronic eosinophilic leukemia-not otherwise specified)の診断基準はWHO分類第4版に明記されているが,好酸球のクローン性の証明は実際には困難である.そのため,CEL-NOSと診断される症例は非常に少なく,特発性好酸球増多症候群(hypereosinophilic syndrome:HES)に分類される症例が多いと考えられる1,2).
FIP1L1-PDGFRA融合遺伝子を伴うCELは,WHO分類第4版では,「PDGFRA,PDGFRB,またはFGFR1遺伝子に異常を有し,好酸球増加を伴う骨髄系とリンパ系の腫瘍」に分類される(本書では便宜上,「骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms:MPN)」に分類している).再構成を生じる遺伝子によって臨床的な特徴は異なるが,いずれも好酸球増加を来す.PDGFRA遺伝子関連の腫瘍ではCELの病態を取ることが多く,PDGFRB遺伝子関連の疾患では慢性骨髄単球性白血病(chronic myelomonocytic leukemia:CMML)様の病態であることが多い.FGFR1異常では,リンパ系腫瘍の病態を取ることが多い.
●PDGFRA融合遺伝子を伴うMPNについて
PDGFRA融合遺伝子を伴うMPNで最も多くみられるのは,4q12の微小欠失によるFIP1L1-PDGFRA融合遺伝子を有する例である.CELとしての発症が最も多いが,AML(acute myeloid leukemia)やT-LBL(T-cell lymphoblastic lymphoma)としての発症もありうる.PDGFRA融合遺伝子を伴うMPNはまれで,男性に極端に多い.(男女は17:1).FIP1L1-PDGFRA融合遺伝子を伴うCELでは,好酸球の浸潤などにより,多臓器に病変がみられる.皮膚搔痒,呼吸器系,消化器系の症状が多い.脾腫を高率に認める.
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