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増刊号 血液形態アトラス
Ⅰ部 造血器悪性腫瘍
1章 急性白血病
18 t(9;22)(q34;q11.2);BCR-ABL1を伴うBリンパ芽球性白血病/リンパ腫
B-lymphoblastic leukemia/lymphoma with t(9;22)(q34;q11.2); BCR-ABL1
丸尾 理恵
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.900-901
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206156
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成人Bリンパ芽球性白血病(B-lymphoblastic leukemia:B-ALL)の約25%,小児B-ALLの約3%にフィラデルフィア染色体と呼ばれるt(9;22)転座(BCR-ABL1融合遺伝子)を伴う.BCR領域の切断点の違いによりp210kD BCR-ABL1とp190kD BCR-ABL1の2種類の融合タンパクが生じうるが,小児ではほとんどがp190kD BCR-ABL1であるのに対し,成人ではp210kD BCR-ABL1が約半数を占める.切断点の違いによる臨床病態の差異は明らかでない.
BCR-ABL1を伴うB-ALLにおいて,成人では従来の化学療法による寛解率は他のALLと同程度であるが,ほとんどが短期間に再発し,3年生存率10%以下と極めて予後不良である.小児でも5年生存率20〜40%と成人同様予後不良である.近年チロシンキナーゼ阻害薬であるイマチニブが登場したことにより,化学療法との併用で予後改善が認められてきた.最近では第二世代のチロシンキナーゼ阻害剤であるダサチニブを用いた治療成績が報告されており,ダサチニブはイマチニブに比べて治療効果が速く出現するため,今後BCR-ABL1遺伝子異常を伴うB-ALLの標準的治療薬になる可能性があると期待されている.
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