今月の主題 リンパ系疾患へのアプローチ
リンパ系疾患の臨床
急性リンパ性白血病(ALL)—FAB分類
恒松 由記子
1
Yukiko Tsunematsu
1
1国立小児病院・血液科
pp.1752-1756
発行日 1984年10月10日
Published Date 1984/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219248
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白血病患者の病態を把握し,治療法を選択し,予後を判定するために最も重要な役割をはたしてきたのは形態学的分類であった.増殖している細胞の形態が正常細胞のどれに似ているか,その分化度はその細胞系列のどの時期に対応するかで従来の分類がなされてきたが,形態学的な分類手法のみでは必ずしも細胞起原にせまることができず,とくにリンパ球系の腫瘍では免疫学的なマーカーによる分類のほうが,予後因子を解析するうえでより重要になった.その他,染色体異常に基づく分類,電顕的手法による細胞の同定,酵素細胞化学的所見などのさまざまな方法により,各種の白血病細胞の起原が論じられている.このような中で基本となるのは細胞の形態であり,かえって形態学的分類の重要性が再認識され,新しい手法による知見との関連性も興味がもたれている.
最近まで白血病の国際分類がなかったので,その診断は客観性に乏しく,異なる施設間あるいは小児科・内科の間にもさまざまなくい違いがあった.この問題を克服するために,1975年French-American-British(FAB)cooperative groupはFAB分類を提唱した1).その後も問題点が話し合われ,1980年に前骨髄性白血病にmicrogranular form2)を追加,81年にはリンパ芽球性白血病にscoring system3)がとり入れられた.
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