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新しい知見
痛み刺激による痛覚検査:痛み刺激による痛覚認知に関連する研究は,主観的な要素が強く技術的に難しいことと,ある程度非侵襲的な方法を用いなければならないことで開発が遅れていた.また,痛みを誘発させるために皮膚侵害受容器を選択的に刺激できなければならないことが大きな問題点であった.
近年,病院などの神経生理検査部門で通常に設置されている筋電計を利用し,特殊な機器を必要としない痛み刺激電極が表皮内刺激電極(Inter-epidermal electrical stimulation,IES電極)として,岡崎国立共同研究機構生理学研究所の乾幸二先生によって発明された.
IES電極は,自由神経終末のある表皮内に短い針電極を刺し,そこに微弱な電流を流し,自由神経終末を興奮させる.痛覚にかかわる自由神経終末が表皮内で終わるのに対し,触覚にかかわる受容器はそれより深い層にあるため,表皮内を微弱な電流で刺激することによって自由神経終末のみの刺激が可能となり,Aδ線維を選択的に刺激できることになる.電極の形状は画鋲のようであるが,針電極は0.1mmと非常に短く,皮膚表面より刺入するが深さは一定であり,表皮には血管がないため電極刺入による出血はない.また,感染予防のため電極はディスポーザブルであり,安全である.
臨床応用としては,簡易で安定した痛覚関連電位を検査することにより中枢性や末梢性の病態が明らかにされ,本稿で述べる感覚神経伝導検査や体性感覚誘発電位検査ほど一般的とはならないまでも,診療および治療の補助となることが期待される.
本稿では日常臨床で行われている一般的な感覚神経伝導検査のコツや注意点について述べる.
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