臨床検査のピットフォール
キメラ遺伝子検出のためのFISH法のピットフォール—検査前に知っておきたいこと
井出 裕一郎
1
1信州大学医学部附属病院臨床検査部
pp.614-618
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205970
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
FISH(fluorescence in situ hybridization)法は,細胞あるいは組織標本上で遺伝子・染色体異常を検出する方法として有用である.FISH法に用いるプローブには,大きく3種類(セントロメア特異的プローブ,領域特異的プローブ,染色体着色プローブ)がある.日常検査では主にセントロメア特異的プローブを用いて染色体の数的異常を検出したり,領域特異的プローブを用いて白血病やリンパ腫,そして軟部腫瘍における染色体転座を検出している.
FISH法の手技1)は比較的簡便であり,陽性,陰性のシグナルパターンを理解していれば検査自体も容易である.しかしながら,これで本当にFISH法を理解しているといえるだろうか.プローブの添付書に記載されていない非典型的なシグナルパターンを呈したとき,どのように判定を行えばよいだろうか.本稿では,FISH法の結果を正しく理解するうえで知っておきたい重要なポイントとなる「転写方向と融合遺伝子の成り立ち」について解説する.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.