病気のはなし
卵巣腫瘍
安田 政実
1
1埼玉医科大学国際医療センター病理診断科
pp.448-457
発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205929
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Point
●卵巣腫瘍は“多種多様性”の代表格で,その根本は生殖器としての解剖・生理学的固有性に起因します.昨今,卵巣上皮性腫瘍はⅠ型とⅡ型に分けることが提唱されています.
●日本の卵巣癌は漿液性腺癌,明細胞腺癌,類内膜腺癌,粘液性腺癌の順に経験されます.明細胞腺癌や類内膜腺癌では子宮内膜症を背景に発生するものが少なくありません.
●浸潤は程度によって,「微小浸潤」と「明らかな浸潤」に分けられます.WHO2014分類では,微小浸潤は「長さ5mm」以下のものと定義されています.
●日本の境界悪性腫瘍は粘液性が大半で次に漿液性が続きますが,西欧ではこの順位が逆転します.特異な病態であるインプラントは漿液性境界悪性腫瘍でしばしばみられます.
●「新たな卵巣腫瘍発生説」では,従来,注目を浴びることのなかった卵管が“起源”ではないかと考えられるようになってきました.このような状況下,FIGO分類も2014年に改訂されました.
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