臨床医からの質問に答える
抗血小板薬モニタリングの意義と現状に関して教えてください
佐藤 金夫
1
1山梨大学医学部附属病院検査部
pp.64-66
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205778
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
薬物療法では,その治療効果を判定するために検査値が用いられることがある.例えば,降圧薬における血圧測定,血糖降下薬における血糖値やヘモグロビンA1c,高脂血症治療薬におけるコレステロールや中性脂肪などが挙げられる.これらの検査によって薬効モニタリングをしながら,服薬量の調整・維持が行われている.血栓症の治療には抗凝固療法と抗血小板療法があり,前者はワーファリンが治療に用いられ,PT-INR(prothrombin time-international normalized ratio)あるいはトロンボテストで薬効モニタリングされている.後者はアスピリン,クロピドグレル,プラスグレル,シロスタゾールなどが治療に用いられているが,薬効モニタリングの実施は一部の施設にとどまっている.
1993年にGrotmeyerらが,アスピリンを服用しているにもかかわらず,血小板凝集が十分に抑制されていない患者の存在を報告して以来,同様の報告がなされ,現在ではこのような患者を反応性が高い患者群HPR(high platelet reactivity),レジスタンス,不応性などと呼んでいる.これらの患者においては心血管イベントの発症率が高いことから,抗血小板療法の際に薬効モニタリングを行う必要があるか否か,世界的に議論されている.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.