増大号 匠から学ぶ 血栓止血検査ガイド
4章 検査後プロセス
血小板凝集能による抗血小板療法のモニタリングとしての役割
羽藤 高明
1
1愛媛県赤十字血液センター
キーワード:
抗血小板薬
,
血小板凝集
,
冠動脈疾患
,
CYP2C19
,
P2Y12
Keyword:
抗血小板薬
,
血小板凝集
,
冠動脈疾患
,
CYP2C19
,
P2Y12
pp.1018-1022
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209102
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
抗血小板療法は冠動脈疾患や脳梗塞のようなアテローム血栓症の治療に広く用いられており,アスピリンとP2Y12阻害薬(クロピドグレル,プラスグレル,チカグレロル)はその代表的な薬剤である.これらの薬剤は血小板凝集を抑制する作用を有しているが,その作用が不十分で残存血小板凝集能の高い状態はHPR〔high(on-treatment)platelet reactivity〕と呼ばれている.HPRを示す患者は血栓性イベントの再発率が高い一方,血小板凝集が強く抑制される薬剤を服用している患者は出血性イベントの発生率が高いことが報告1)されている.そこで,血小板凝集能測定機器を用いて抗血小板薬の効果をモニタリングし,その結果に応じて抗血小板療法を調整することによって予後を改善しようとする試みがなされてきた.本稿では,抗血小板療法のモニタリングを取り巻く現状とその課題について述べる.
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.