明日の検査技師に望む 血液学の立場から
医療人としての自覚と責任を
新谷 和夫
1
1東京池袋簡易保険診療所
pp.1544
発行日 1989年11月1日
Published Date 1989/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205758
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血液学検査では他の分野よりいっそう疾患に対する理解が求められてきたが,このことは将来とも不変であると思われる.異常ヘモグロビン症は分子病という概念を発展させ,細胞病理学の世界に大きなインパクトを与えたが,最近では遺伝子解析技術の進展により続々と新しい疾患像,疾患概念が提唱されるようになっている.技師学校で習得した疾患像だけで終わっていると,とても現在の医学についていけなくなる.
例を急性白血病の診断にとると,一般染色を基礎に位相差顕微鏡や電子顕微鏡による形態的な検索から細胞科学を利用したFAB分類の採用,セルソーターや免疫細胞科学法による表面抗原の解析へというように,新しい手法の導入は新しい考えかたを要求してきた.このようなときに単に手法の体得だけに終わってしまう人と,根底にある考えかたを理解する人の差が出ていたと思う.既成概念だけにとらわれることなく,新しい考えかたを積極的に取り入れる柔らかい頭脳が要求されている.
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