ワンポイントアドバイス
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戸川 敦
pp.15
発行日 1988年1月1日
Published Date 1988/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205454
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世の中,便利になると物事が安易に流れやすい.血球の百分率を求める際もしかりで,以前は医師がある患者の受持ちになると時間をかけて標本を見,思いがけない病気を見つけることもあった.それが今では自動白血球分画機などという便利な器械ができて,血液を検査室に送りさえすれば自然と結果が送られてくるようになった.極端な場合,血液患者を診療しているのに一度も標本をのぞかないまま終わってしまうこともある.検査する側も同じことで,検体を器械にかけデータを送って終わりで,昔と比べ検査室からのアドバイスといったものが少なくなったような気がする.これでは患者さんもたまったものではない.このため命を落とすことだってあるかもしれない.
病態の解析が深くなると,医師がそれにかかわり技術的な面がなおざりにされる傾向がある.もちろん,それはいいことではないが,やむをえない面もある.
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