ひとこと
臨床検査技師に望む
水野 肇
pp.10-11
発行日 1973年12月1日
Published Date 1973/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200310
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医学は2,000年以上の歴史をもっているといわれるが,それぞれの時代にエポックをもっていたということができるだろう.あるときは系統解剖学が,あるときは外科医の時代が,また別のときには薬がその時代の医学を代表した.そして,現代はまぎれもなく,臨床検査の時代である.長い間にわたって経験と勘によって行なわれてきた診断が,まがりなりにも"科学"としての形を整えつつある時代で,その基礎となっているのが臨床検査であるのはいうまでもないことだろう.
これによって,きわめて不確実であった診断が,ある程度の確からしさをもって登場し,推測も可能になった.もちろん,誤診がないというわけではないが,少なくとも,なぜ誤診したかを反省できる材料はでてきたといえよう.人間のメカニズムが解明されないかぎり,誤診ゼロは存在しないけれども,いまの臨床検査の発達は,誤診ゼロに向かっている一里塚であることはまちがいない.
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