トピックス
抗血小板作用薬と検査
安永 幸二郎
1
1関西医大
pp.373
発行日 1984年4月1日
Published Date 1984/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205447
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抗血小板薬による抗血小板療法は,抗血栓療法の一つとして最近注目されている新しい治療法である.血栓症に対する内科的治療としては血栓溶解療法や抗凝固療法があるが,血小板が血栓の形成に重要な役割をもつことが認識されるにつれて,血小板の機能を低下させる抗血小板療法の有用性が取り上げられるようになった.抗血小板薬にはアスピリンやジピリダモール(ペルサンチン)のように,古くからある薬の一つの薬理作用のために用いられるものもあるが,新しく開発された薬も多く,わが国でも初めて抗血小板薬として唯一の薬効を揚げたチクロピジン(パナルジン)も登場した.
さて,抗凝固療法が血液の凝固性を低下させるのに対し,抗血小板療法は血小板の機能を低下させるものである.ご存じのように,抗凝固療法では,ヘパリンを用いる場合は,全血凝固時間や活性化凝固時間などによって,また経口抗凝固薬(ワーファリンなど)を用いる場合はプロトロンビン時間やトロンボテストによって,それぞれ凝固時間の延長が一定の治療域におさまるよう,絶えず投与する薬剤の量,間隔をコントロールする必要がある.これらの薬剤の抗凝固作用は強力かつ的確であって,効きすぎると必ず出血を起こすから,そしてそのときには治療によって逆に病状を悪化させることにもなりかねないから,非常に気を使うことになる.したがって,近年は経口抗凝固薬は以前ほどは一般には用いられなくなった.
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