最近の検査技術
赤血球可変形能と赤血球濾過試験—正常と病的赤血球における意義
八幡 義人
1
1川崎医科大学内科
pp.437-440
発行日 1981年5月1日
Published Date 1981/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205329
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ヒト赤血球1)は生理的には120日の寿命を有し,最終的には脾において崩壊・溶血に至る.この正常赤血球の老化過程や,ある種の病態(例えば赤血球の代謝異常症)では,赤血球に内在する代謝系の破綻によって(血球内因子),早期崩壊を示す.しかし,赤血球自体には原因となる代謝障害は本質的には認められなくても,血漿内に存在する病的諸因子(血球外因子,例えば血漿脂質の異常,自己抗体の存在,補体の作用,病理組織学的な血管性病変など)によって,いずれは溶血に至ることがある2).いずれの場合も,赤血球の崩壊をつかさどる臓器は,主として脾と考えられている.
脾による溶血の機序は,脾の独特な解剖学的・病理組織学的因子,生化学的因子,更に現在はまだ詳細は不明ではあるが,免疫学的因子などが関与していると推定される.
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