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赤痢アメーバ症の血清学的診断
浦野 順文
1
1神戸大学
pp.67
発行日 1981年1月1日
Published Date 1981/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205313
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医学の領域では頻度の少ない疾患でも正確に診断し,治療することが必要である.特に有効な治療法がある場合には,誤診ではすまされない.このような疾患に赤痢アメーバ症がある.赤痢アメーバ症は第2次大戦中,その戦後間もなくのころは多く見られたが,現在はまれな疾患になっている.しかし最近は国際交流が盛んで,海外で感染する輸入熱帯病の一つに挙げられている.
赤痢アメーバ症の診断は糞便検査法で,糞使中の赤痢アメーバ虫体の同定をもって行って来た.しかしこの診断には熟練を要し,反復検査の必要もある.また肝にアメーバ膿様が形成された症例では糞便中に赤痢アメーバの認められなかった症例もあり,手術材料の検索で赤痢アメーバが発見された症例も最近経験した.頻度の少ない疾患の糞便検査で,しかも熟練を要する診断ということは,誤診や虫体を見逃す原因となりかねない.特に腸管外アメーバ症の診断には,糞便内に虫体を発見できないこともあり,この検査法は有効でない.
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