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最近,血中の薬剤濃度を測定して,過剰投与による副作用の防止と不足投与による無効果を防止し,個々の患者に適切な治療を行わんとするいわゆるclinical pharmacologyが注目されてきた.「臨床検査」24巻12号にも今月の主題としてとりあげてある.現実に我が国においても,抗てんかん剤,ジギタリス剤の血中濃度測定が臨床に利用されつつあるが,問題は測定法そのものにある.UV法,薄層クロマトグラフィー,ガスクロマトグラフィー,高速液体クロマトグラフィー,radioimmunoassay(RIA)などの測定法があるが,いずれも,誰でもどこでも直ちに行うわけにはいかない.enzyme immunoassay(EIA)法が出現するに及んで,ようやく,普通の検査室レベルでも測定が可能になった.特にHomogeneous Enzyme Immunoassay法では,モルヒネ,フェノバルビタールなどの濃度の測定を可能にした.
測定原理は,Homogeneous Reactant-Labeled Fluorescent Immunoassayであり,薬物を酵素で標識した結合物と遊離薬物との抗薬物抗体に対する競合反応ではなく,遊離薬物とfluorogenic基を持つ酵素反応の基質を標識した薬物とを抗薬物抗体に競合反応を行わせた後に,酵素を作用させると抗体と未結合の基質標識薬物のみが酵素の作用を受けて螢光を発するので,その螢光強度を測定することにより抗体中の遊離薬物濃度を測定するものである.fluorogenicな基質誘導体としてumbelliferyl-β-D-galactosideを用い,酵素としてβ-galactosidaseが用いられている.よく考えたものである.
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