病気のはなし
悪性貧血
右京 成夫
1
1京都大学第一内科
pp.6-12
発行日 1981年1月1日
Published Date 1981/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205298
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悪性貧血とは
悪性貧血(pernicious anemia)とは,末梢血検査で,白血球減少(leucopenia),血小板減少(thrombocytopenia),好中球の過分葉(hypersegmentation)などを伴う大球性貧血(macrocytic anemia)を認め),骨髄内に巨赤芽球(megaloblast)ならびに巨大顆粒球(giant granulocyte)の出現を見る,いわゆる巨赤芽球性貧血(megaloblastic anemia)の代表的疾患で,亜急性に進行し,しばしば亜急性脊髄連合変性症(subacute combined degeneration of the spinal cord,SCDC)と呼ばれる神経障害を合併するビタミンB12(以下B12と略)欠乏症の典型的疾患で,Addison,Biermerらにより初めて記載された.
本貧血は男女ほぼ同率に認められ,50〜60歳代に多く発症するが,北欧のスカンジナビア三国,カナダ,英国,米国などの白人に多く発症するのに反し,黒人,東洋人,日本人にはまれである.なお,成人とは別に小児に発症する若年性悪性貧血については,成人と発症機序が少なからず異なるうえ,我が国での発症が,成人より一層まれであるので,紙面の都合もあり割愛し,本稿では成人の悪性貧血についてのみ述べることとする.
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