疾患と検査値の推移
悪性貧血
細野 奈穂子
1
,
上田 孝典
1
1福井大学医学部内科学
pp.666-670
発行日 2011年9月1日
Published Date 2011/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103243
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はじめに
悪性貧血(pernicious anemia)は高度の胃粘膜萎縮による内因子(intrinsic factor,IF)の分泌不全に基づく,ビタミンB12の吸収障害性の巨赤芽球性貧血である.
悪性貧血の最初の報告は1824年に遡る.原因不明の貧血・全身倦怠感を示し,死に至る疾患であることからpernicious(致死的な) anemiaと名づけられた.この死に至る病であった悪性貧血は,1948年にビタミンB12(コバラミン)が発見されたことにより,生命予後に影響を与えない良性疾患へと劇的な変貌を遂げた.これら悪性貧血の治療と研究に携わった研究者たちのなかから,数々のノーベル賞受賞者が誕生した.
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