技術講座 生化学
CKの測定法
岡部 紘明
1
1東京都養育院付属病院研究検査部
pp.32-39
発行日 1981年1月1日
Published Date 1981/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205304
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
CK(adenosin triphosphate,creatine phosphotransferase EC. 2.7.3.2)はLohmann反応と言われている1).以下の反応を可逆的に触媒する酵素である.
ATP+クレアチン⇄ADP+クレアチンリン酸CKのクレアチンに対するKmは38℃で,1.9×10-2M,ATPに対して6×10-4M,クレアチンリン酸5×10-3M,ADP1×10-3Mで右方向反応はpH9.0で,左方向反応はpH6.0〜7.0で行われ,右方向反応2に対して左方向反応5の割で行われる.CKは骨格筋>大脳皮質>左心室>大脳髄質>右心室>心房>小脳髄質>平滑筋の順に含まれている2).大部分が骨格筋にあり,肝,赤血球にはほとんどない.血清中のCK活性の測定は骨格筋及び心筋の診断に有用である.酵素は2量体構造で,ヒト血清中ではMM,MB,BBの3種のアイソザイムが見いだされている.MMは筋組織に,MBは心筋に,BBは脳及び神経に多く見いだされている.このような臓器分布から血清の心筋梗塞でのMB3,4),手術後やある種の筋ジストロフィー,多発性筋炎でのMMの測定5)は有用である.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.