検査報告拝見 細胞診
名古屋市立大学医学部附属病院中央臨床検査部
柴田 偉雄
pp.1618-1619
発行日 1989年12月1日
Published Date 1989/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205283
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1.細胞診検査報告の性格
細胞診の検査報告は病理組織検査や骨髄像検査と同様,パターン認識に基づく病名あるいは病態診断としての性格を有する.それは,患者条件,検体採取法,検体処理,標本作製などの諸条件を十分考慮し,解剖学,組織学,微生物学,医動物学などの基礎医学や生物学の知識を背景として,病理学,臨床細胞学,臨床医学各分野の知識を活用することにより初めて可能となる高次の総合的判断に基づくものである.特に悪性腫瘍をめぐる診断では,患者の治療方針や予後を見通すうえでの決定的な情報となることも多い.
2.細胞診検査書の様式
当院で用いている検査書は,右頁に示すように2か所の双柱罫によって上中下の三つに区分されている.上段は患者基本情報と検体採取情報,中段は患者の臨床情報で,ともに診療科から提供される情報である.ここに記載もれや誤記など不備があると,検査事故のおそれが生ずる.下段が細胞診の報告部分で,良性・悪性をめぐる細胞判定区分と,その内容を具体的に示す細胞診断の記述部分とから成っている.
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