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細胞内Ca2+濃度を測定ずる蛍光プローブ—Fura 2-AM
喜納 兼勇
1
1同仁化学研究所
pp.1442-1443
発行日 1989年10月1日
Published Date 1989/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205228
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原始生命は海で誕生したと考えられている.ヒトの体液のイオン組成も海水のそれときわめてよく似通っていて,Na2+,Cl-,Ca2+,Mg2+を含む.細胞内では細胞の内から外への排出ポンプによってNa+,Ca2+は逆に低く抑えられており,細胞外のCa2+濃度が1〜2mmol/lに対し,細胞内では0.1μmol/l程度にすぎない.細胞はこの極端な濃度勾配を細胞が生きていくうえでの信号の担い手として,巧みに利用している.
細胞機能の発現にCa2+の果たす働きとしてよく知られている例は,筋肉収縮時のメッセンジャーとしての役割であろう.神経からの刺激が筋細胞に伝わると,筋小胞体から放出されたCa2+がカルシウム受容蛋白質に取り込まれ,急激な構造変化を起こす.これがアクチンとミオシンの反応のきっかけとなって筋収縮が起こる.キレート剤を用いてCa2+を取り去ると筋肉は弛緩する.ホルモンの作用のメカニズムでも情報伝達の仲立ちにCa2+が関与している.
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