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実験講座
海馬神経細胞での細胞内Ca濃度の測定
Determination of cytosolic Ca2+ in hippocampal neurons
小倉 明彦
1
,
工藤 佳久
1
Akihiko Ogura
1
,
Yoshihisa Kudo
1
1三菱化成生命科学研究所脳神経科学部
pp.597-603
発行日 1987年12月15日
Published Date 1987/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905085
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生きている細胞は,高いエネルギーコストを払って細胞質内の遊離カルシウムイオン濃度(以下[Ca2+]iと略)を10−7Mレベルあるいはそれ以下に保っている。そしていざ刺激がきたとき,104倍にも及ぶ濃度勾配にしたがってどっとCa2+を流れ込ませ,それを細胞内でのシグナルとして用いる。神経細胞も例外ではなく,神経伝達物質の放出や,Ca2+依存性の酵素群の活性化を介しての細胞機能の調節を行っているとされている。確かに細胞外環境のCa2+濃度を変えたり細胞内にCa2+やEGTAを入れて[Ca2+]iを操作すると,多くの細胞機能が影響を受ける。しかし,だからといって実際にそれらの機能がみな[Ca2+]iによって調節されていると断言はできない。たとえ話でいえば,「ナイフで刺されると人は死ぬ。ではこの間うちのおじいちゃんが80歳で死んだのはナイフで刺されたからか。」そうとばかりはいえない。[Ca2+]iが実際に調節因子として働いているとするためには,その刺激の下で[Ca2+]iが本当に動くのを確かめておかなければならない。生きた標本での[Ca2+]iの簡便かつ実時間的な測定法が求められるゆえんである。
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