感染症の検査法 Ⅲ 検査法各論
[6]同定法
B 種別同定法
1 グラム陰性菌
③非発酵菌
設楽 政次
1
1佼成病院検査科
pp.802-807
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205049
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臨床材料から分離される細菌の種類は,分類学の進歩に伴い整理・細分化され,多くの新しい属および種が報告されている.グルコース非発酵グラム陰性桿菌についても同様で,これらの菌種の同定はきわめて複雑化し,同定に使用するテスト項目の増加につながり,従来の少数の性状検査だけでは十分な同定が困難となっている.しかし,多数の性状検査を行うには,迅速,経済性の問題や多数の性状検査成績を人間が判別するうえでの限界もある.このようなことから,多数の基質の分解パターンを数値化し,多数の既知菌株の成績に基づいて作成したコード表と照合して菌名を解読する方法が開発・市販されるようになり,日常細菌検査に広く普及するようになった.このことは,とかく敬遠されがちであったグルコース非発酵グラム陰性桿菌の同定も従来に比較して容易に行えるようになったことを意味する.一方,数値同定は誤った結果が得られる場合もあり,同定された菌種の集落性状,グラム染色性およびコード表から得られた菌種の特徴を把握しておくことが,同定の精度を高めると同時に,誤同定を発見する糸口となる.
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