感染症の検査法 Ⅲ 検査法各論
[4]感染症の免疫学的検査法
1)蛍光抗体法
4)対向流免疫電気泳動法
中村 明
1
1千葉県こども病院感染症科
pp.721-723
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205028
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はじめに
対向流免疫電気泳動法(counter-current immunoelectrophoresis,counterimmunoelectrophoresis;CIE)はオーストラリア抗原(現在のHBs接原)の免疫学的検出法として医学の分野に登場したが,これが近年の微生物抗原検出による病因診断の端緒であろう.1970年代になって化膿性髄膜炎を主とする重症細菌性感染症の迅速病因診断法として応用されるようになった.
血清・脳脊髄液などの体液中に細菌抗原が存在することは,今世紀初頭から認識されていた.1930年代になって,MaegraithがNeisseria meningitidis(髄膜炎菌)性髄膜炎例で沈降法によって英膜抗原の存在を証明した.以後,Alexanderらが化膿性髄膜炎の髄液中のHaemophilus influenzae type b(インフルエンザ菌b型)莢膜抗原をring test(沈降反応)で検出していたが,これ以外には原因菌検出法として用いられなかった1).沈降反応は検出感度が鈍く,反応に長時間を要する,また必要検体量が多い,などの理由で普及しなかったと考えられる.すなわち,細菌培養法と比して利点が少なかった.
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