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膵分泌性トリプシン・インヒビター(PSTI)
小川 道雄
1
1大阪大学医学部第2外科
pp.396-397
発行日 1989年4月1日
Published Date 1989/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204929
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[1]PSTIとは
PSTIは膵分泌性トリプシン・インヒビター(pancreatic secretory trypsin inhibitor)の略語である.PSTIは膵臓の腺房細胞から消化酵素とともに膵液中に分泌されるトリプシンの阻害物質として知られてきた1).膵液中のPSTIの作用は,膵管内で万一少量のトリプシノーゲンの活性化が起こった場合,ただちにその活性化したトリプシンと結合し,トリプシンによって膵臓内で前酵素(proenzyme)が連鎖反応的に活性化するのを防ぎ,膵臓を自己消化から守ることにあるとされてきた(図1).
われわれは体液中のPSTIを測定するためのRIA系を確立して臨床研究を進め,PSTIが単に膵臓のトリプシン・インヒビターにとどまらず,広く生体の防御反応に関与している物質であることを指摘してきた1〜3).
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