検査法の基礎理論
ポリメレース・チェイン・リアクション(PCR)
永井 良三
1
1東京大学医学部臨床検査医学講座
pp.348-352
発行日 1989年4月1日
Published Date 1989/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204915
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サマリー
近年の分子生物学と遺伝子工学の進歩により,遺伝子レベルで病態を解明し,疾患の診断を行うことが可能となった.しかし,従来の方法では遺伝子ライブラリーの作製や遺伝子クローニングという長期間の作業が必要で,日常検査として導入することは困難であった.ところが最近,ポリメレース・チェイン・リアクション(PCR)という,構造が既知の遺伝子を数時間で100万倍に増幅する方法が開発された.これは新しいDNA合成酵素Taq polymeraseと2種類のプライマーを巧みに用いたもので,温度変化を制御するだけで増幅反応を進めることができる.本法により,遺伝子診断が一段と身近なものになったといえる.
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