免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際
1・血漿蛋白
⑥α1-マイクログロブリン
伊藤 喜久
1
1自治医科大学臨床病理学講座
pp.658-660
発行日 1988年6月15日
Published Date 1988/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204556
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α1-マイクログロブリン(α1-m)は,特異な物理化学的性質(荷電の不均一性,IgAや褐色物質などの結合性など)を有する低分子糖蛋白質である.現在までに明らかにされているα1-m測定の臨床的意義は,血清・尿をサンプルとして,肝実質細胞障害度の検定,ことに肝切除手術後の肝予備機能,予後の判定および腎糸球体,尿細管障害の局在診断にあり,治療・予後の判定に比較的新しい,特異性の高い指針としてわが国を中心に西欧諸国などで臨床的応用が図られてきている.1975年Ekströmらにより分離精製が行われて以来,基礎研究のたゆまない積み重ねの中から,最終的に臨床応用のゴールともいうべき検査領域にも種々の測定法が導入され,現在表1に示すような測定法が検査キットとして市販され入手可能な時代を迎えるに至った1,2).
本稿では,検査室で現在入手可能な測定キットを中心に話を進め,サンプルの取り扱いかた,測定原理,測定法の概要と操作上の注意点について概説する.
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