免疫化学検査法 Ⅰ 免疫化学検査の基礎
2・抗原抗体反応の応用
4)ネフェロメトリー
大竹 皓子
1
1慶応義塾大学病院中央臨床検査部
pp.599-605
発行日 1988年6月15日
Published Date 1988/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204542
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はじめに
光散乱現象をもとにして,定性分析または定量分析を行う方法は,古くから免疫学,微生物学,分析化学などの分野で利用されてきた.具体例としては,免疫沈降反応による抗原の定量,懸濁液中の粒子の濃度の定量,Zimmプロットによる高分子成分の分子量の測定などが挙げられる.光散乱現象を用いた定量分析法には大別すると,タービディメトリー(turbidimetry:比濁法)とネフェロメトリー(nephelometry;比朧法)とがある.前者は,溶液または懸濁液中を光が通過したときに,吸収と散乱によって減衰した透過光を,フォトメーターによって検出して試料中の目的物質の濃度を測定する方法である.後者のネフェロメトリーは,光が小粒子の懸濁液中を通過するとき全方向に散乱されるが,この散乱された光をある角度方向の検出器によってとらえ,その強度から試料物質の濃度を測定するものである.
ネフェロメトリーは,原理的に比濁法に比べて比較的低濃度の試料を感度よく測定できることから,近年は,血清特異蛋白質の免疫学的定量法,イムノネフェロメトリー(immunonephelometry;免疫比朧法)として広く普及している.
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