技術講座 細胞診
細胞診1—標本作製
上野 喜三郎
1
,
大塚 重則
1
,
池田 栄雄
2
,
田中 昇
3,4
1(株)相互生物医学研究所細胞診センター
2千葉県がんセンター
3(株)相互生物医学研究所病理・細胞診センター
4日本大学
pp.1023-1028
発行日 1987年8月1日
Published Date 1987/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204233
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従来,細胞診は剥離細胞診断学として,患者に苦痛を与えることなく反復して腟部分泌物,喀痰,尿などの検体が採取できるもの(消極的採取法)として,発達してきた学問であった.しかし近年,病巣部の細胞診断技術の向上と,臨床家によって開拓された細胞採取技術の発達とともに,身体のほぼ全域にわたって直接病巣を内視鏡的に擦過したり,針穿的吸引によって細胞を採取したりすることが可能になった(積極的採取法).それに伴う検体の処理・標本作製も多種多様になり,それぞれに応じて高度の技術が要求されるようになった.せっかく採取した検体が,標本作製方法のいかんによって鏡検不能になったり,塗抹細胞数が少ないため診断不能になったり,誤判定したりする危険性をつねに念頭に置き,さらに第二・第三の検査法を考慮して,検体を処理すべきである.以下に,検体の種類から標本作製までについて述べる.
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