技術講座 血清
サイトメガロウイルス抗体の検査法
高村 利治
1
1金沢大学病院検査部
pp.1017-1022
発行日 1987年8月1日
Published Date 1987/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204232
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ヒトのサイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)は,1956年SmithおよびRoweらによって組織培養で分離された.分類学上は,単純ヘルペスウイルスⅠ型(herpes simplex virus type Ⅰ;HSV Ⅰ),単純ヘルペスウイルスⅡ型(herpes simplex virus type Ⅱ;HSV Ⅱ),水痘帯状疱疹ウィルス(varicella zoster virus;VZV),およびEBウイルス(Epstein-Barr virus;EBV)と同様ヘルペスウイルスに属し,さらにCMVはベーターヘルペスウイルス(beta herpes virinae)亜科に分類されている.CMV感染の多くは不顕性感染で,成人の40〜100%の人が感染を受けていると考えられる.わが国は,アジア・アフリカ諸国と同様,欧米諸国よりCMVの浸淫度が高く,感染時期も早い1).CMVが体内のどの部位に潜伏感染するのかはいまだ不確実だが,リンパ球,腎臓,性器および唾液腺や前立腺などの外分泌腺が推定されている2).それらが種々のストレス,免疫抑制状態などを契機に再活性化し,種々の病態を呈するものと考えられる.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.