今月の主題 輸血に伴う感染症の検査と対策
検査と対策
サイトメガロウイルス
原田 実根
1
Mine HARADA
1
1九州大学医学部第一内科学教室
pp.1605-1611
発行日 1988年12月15日
Published Date 1988/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913858
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免疫不全や臓器移植に伴うcytomegalovirus (CMV)感染症は,しばしば重症化し予後に重大な影響を及ぼすので,輸血によるCMV感染の移人を考慮して,ドナーおよびレシピエントのCMV抗体の有無を検討したうえで,適切な輸血を行う必要がある.特に,レシピエントがCMV抗体陰性の場合は,CMV抗体陰性の血液製剤のみを使用することによって,CMV感染症を予防することが可能である.わが国ではCMV抗体保有率が高く,CMV抗体陽性患者に輸血を実施する場合,「血液細胞の移植」である輸血が抗原刺激となって,潜伏感染の再活性化に関与することも考えられる.CMVに対する有効な抗ウイルス剤が開発されているが,入手困難な現状では予防対策の方がより重要で,期待できる成績が得られている.
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