技術解説
血小板抗体検査・1
安永 幸二郎
1
,
大熊 稔
1
1京大第1内科
pp.883-890
発行日 1976年9月15日
Published Date 1976/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909471
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特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic th-rombocytopenic purpura;ITP)の発生機序に血小板の自己免疫が関与するという見解は多くの人によって支持されており,血小板減少症患者の血清中に血小板抗体を証明することは本症の診断に一つの有力なよりどころを与えるものである.
血小板抗体の検出には血小板凝集試験,混合凝集試験,補体結合試験,抗グロブリン消費試験,セロトニン摂取阻止試験,セロトニン放出試験,血小板第3因子放出試験,ウサギ血小板減少効果などがある4)が,これらの検査成績は必ずしも同一の態度をとるものではなく,抗体力価の高いものではほとんどすべての検査で陽性の成績が得られるが,ある検査で陽性でも,他の検査は陰性という場合もしばしばみられ,このことは血小板抗体の多様性を示唆するものと老えられる.したがって,血小板抗体の証明法はなるべく二,三の検査,それも機序の異なる検査法を並行して行うことが望ましい.以下,①血小板凝集試験,②血小板補体結合試験,③血小板抗グロブリン消費試験,④血小板14C—セロトニン放出試験,の4検査の実施方法について,教室で行っている方法を中心に解説することにする.
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