検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
レクチン・アフィニティー電気泳動法—アイソザイム分析への応用について
中 恵一
1
1大阪市立大学・臨床検査医学
pp.881-885
発行日 1987年7月1日
Published Date 1987/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204198
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レクチン(lectin)はそもそも血液型特異的凝集活性を有する植物種子抽出液として発見され1),糖結合性蛋白として細胞間認識・相互作用,あるいは細胞の機能発現に関与することで現在注目を集めているものである.レクチンは,特定の糖構造を認識し結合する性質から,ラテン語の「選択する」を意味する語‘legere’に由来するということで命名された2).レクチンは,その後の研究で植物だけではなく,動物にも存在することがわかっており,単糖に結合するだけではなく,類似の構造をもつ一連の糖鎖に結合する.また,糖鎖を認識する免疫学的産物である抗体とは区別されて定義される3〜6)*1.
*1国際生化学連合のレクチンの定義は次のとおりである6).排泄される蛋白の量が同じであっても,水分摂取の少ない状態などで尿が濃縮されていれば濃度は高い値をとるのは当然である.正常人でも激しい運動,長時間の歩行,入浴後などには,スポット尿で陽性の蛋白尿をみることがある.そのような場合,安静時に比べて生理的に尿蛋白排泄量が若干増加することに加えて,発汗などによる尿の濃縮が関与し,尿中の蛋白濃度が増加していると考えられる.また,ほかに一過性の蛋白尿を認める場合として,熱性疾患・起立性蛋白尿などが挙げられる.したがって,スクリーニング検査などでスポット尿で痕跡ないし弱陽性の蛋白尿を認めた際は,水分摂取,運動,体位などの採尿条件を検討したうえで,数回の再検が必要である.それによっても蛋白尿が持続して認められるとき,持続的蛋白尿と判定され,多くの場合病的である.
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