分離分析の技術Ⅰ・9
アガロースゲル電気泳動法—アガロースの特性とLDHアイソザイム
吉田 光孝
1
Mitsutaka YOSHIDA
1
1東邦大学理学部生理化学教室
pp.1065-1074
発行日 1982年9月15日
Published Date 1982/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911646
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はじめに
蛋白質の電気泳動は大別して,移動界面法(溶液内の電気泳動法)と支持体を用いる電気泳動法とに分けられる.自由界面電気泳動法(Tiselius法)と支持体電気泳動法との間に原理的な差異はないが,一般に蛋白質の物性の測定法としては自由界面法が用いられ,微小の共存成分の検出や蛋白質の分離,免疫電気泳動またはアイソザイムの分離検出には支持体法が広く用いられている.
寒天電気泳動は1928年Kendallが始めたもので,1959年Wiemeらが血清蛋白やLDHアイソザイムの分画に応用した.電気泳動の支持体としての寒天ゲルの特徴は,①広範囲の波長に対して透明,②蛋白質などをほとんど吸着しない,③低濃度でゲルが得られ,分子ふるい効果がほとんどない,④電気浸透がかなり大きい,⑤比較的試料が多く塗布できるので広範囲の染色,発色あるいは沈降反応などに応用できる,などが挙げられている.
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