技術講座 細菌
Chlamydia trachomatis感染症の検査法
川畑 貞美
1
,
川島 徹
1
,
石 和久
1
1順天堂大学浦安病院検査科
pp.717-721
発行日 1987年5月1日
Published Date 1987/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204147
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クラミジアはトラコーマ,そ径リンパ肉芽腫,オーム病などの病原体として知られており,以前はMiyagawanella, Bedsonia, PLT group, TRIC agentsなどと呼ばれていた.現在クラミジア属はChlamydia trachomatisとChlamydia psittaciの2種に分類されている.
クラミジアは細胞壁を有する点ではグラム陰性菌に類似した小さな微生物(300〜1000nm)であるが,細胞内でしか増殖できないという特徴を有し,この偏性細胞寄生性のために長年ウイルスの1種と間違えられてきた.また,クラミジアは特有なライフサイクルを有しており,自ら宿主細胞に入り込むのではなく,細胞の食菌作用によって取り込まれる.この段階では基本小体(elementary body;EB)と呼ばれる直径300nmの小粒子であるが,これが細胞内で網状体(reticulate body;RB)と呼ばれる直径1000nmの粒子に変化し,2分裂にて増殖を繰り返し,48時間のサイクルをもってふたたびEBとなる.EBは感染性粒子であり,一方RBは非感染性粒子である.そして宿主細胞の細胞質において集合体を作り,細胞内封入体(inclusion body)を形成する.
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